Backup Loop(バックアップループ)は、ラチェットやアンカーが破断したときに金属パーツが飛ぶのを止める、スラックライン専用のバックアップです。Sterling SafetyPro 9mmスタティックロープの片端にFERROスチールカラビナをトリプルバレルノットで固定し、反対端をエイトノットのループにしました。木やSlack Anchorにロープを回して、FERROをループに掛けるだけ。結ぶ作業はいりません。国際スラックライン協会(ISA)が推奨する「9mm以上のロープを結び目で金属パーツに接続する」を、そのまま製品にしたものです。
Why Backup
テンションをかけたスラックラインが破断すると、ラチェットなどの金属パーツが弾丸のように飛びます。海外の公開実験(HowNOT2)では、初期テンション9.3kNのトリックラインを切断したときのピーク荷重は10.7kN。パラコードや細いコードのバックアップは即破断し、セット付属のウェビングバックアップも切れました。ロングラインでは25kN級のピークも報告されています。
2020年、ISAは58回の破断試験を経て「バックアップにはスタティックまたはダイナミックロープを結び目で金属パーツに接続し、直径9mm未満のロープは使わない」と結論づけました。Backup Loopはこの基準に沿って作っています。詳しくはスラックラインのバックアップ完全ガイドをご覧ください。
How It Works
結ばない
カラビナ側はトリプルバレルノットで固定済み。反対側はエイトノットのループ。現場でやることは「回して、掛ける」だけ
2本のストランドで受ける
ロープが閉じた輪になるので、衝撃は2本に分かれる。結び目後の強度約11kN×2=約22kN。トリックラインの破断ピークの2倍
カラビナが横を向かないトリプルバレルノットは締まるとFERROのスパインに食い込んで向きを固定する。衝撃時にクロスロード(横向き荷重)にならない
長さを合わせられる
エイトノット側は結び直せる。いつも使う場所に合わせて一度調整すれば、次からはそのまま
ナイロン製のSafetyProは結び目でも強度が落ちにくく(最大でも約4割)、衝撃時に少し伸びてピークを下げます。ダイニーマ芯の細いコードは結び目で約6割落ち、外皮が裂けて芯が抜けるため、バックアップには使えません。
How to Use
1. ラチェットに通す
ロープは必ず軸のボルトに通してください。ハンドル部分には絶対に掛けないこと。ハンドルは強度がなく、衝撃で曲がって外れます(よくある間違いです)。フレームの薄い板や角も避け、いちばん強い軸のボルトに
2. 木を回す
ロープを木(またはSlack Anchor)に一周させて、ラチェット側に戻す。ツリープロテクターの上を通す
3. FERROで閉じる
FERROをエイトノットのループに掛けてロックする。これでロープが閉じた輪になる
4. 少しだけ緩める
バックアップは張らない。握りこぶし1つ分ほど緩ませる。張ると本体と一緒に荷重を受け、緩めすぎると金属の移動距離が増える
5. 両側で
ラチェットのある側だけでなく、反対側のアンカーにも。1ラインにつきBackup Loop 2本が基本
長さが合わない場合は、エイトノットをほどいて結び直します。末端は10cm以上残してください。
Choosing Length
長さは「ノット頭〜ノット頭」(トリプルバレルノットの頭からエイトノットの頭まで)で表記しています。目安はこの式です。
木の周囲 + 木からラチェットまでの距離 × 2 + 余裕1m
直径30cmの木
周囲約1m。ラチェットまで0.5mなら 1+1+1=3m
直径50cmの木
周囲約1.6m。ラチェットまで1mなら 1.6+2+1≒5m
Slack Anchor
アンカーとラチェットの位置関係で決まります。
迷ったら長めを。エイトノット側で短くはできますが、長くはできません。長さのバリエーションは順次追加します。必要な長さがない場合はSterling SafetyPro 9mm 切り売りとFERROで同じものを組めます。
Specifications
結び目
カラビナ側:トリプルバレルノット(固定済み)/反対側:エイトノットのループ(結び直し可)
強度の目安
結び目後の1本あたり約11〜12kN。閉じた輪として使うと2本で受けるため約22kN
長さ
ノット頭〜ノット頭で表記。バリエーションから選択
内容
Backup Loop 1本(片側分)。両側に使う場合は2本
組み立て
Slackline Research(岡山)で1本ずつ結んで出荷
Who Needs It
ジャンプトリック・バンジートリック
片側1本ずつ。バンジーはラインのテンション自体を下げるので、Backup Loopで十分
ハイライン
対象外。ハイラインのバックアップはウェビングでメインラインと平行に組む別の考え方(
ハイライン入門講座で解説)
のんびり歩く・ロデオなど低テンションの遊び方では必須ではありません。ラチェットで強く張るようになったら用意してください。
FAQ
1ラインに何本必要ですか?
両側で2本が基本です。ラチェットのある側は必ず。反対側も金具(カラビナやシャックル)で接続している場合は必要です。
Slack Anchorでも使えますか?
使えます。アンカー本体に回して、木と同じようにFERROで閉じます。アンカーとラチェットは距離が近いので5〜6mで足ります。
一度衝撃を受けたら?
交換してください。バレルノットがさらに固く締まって動かなくなっていたら、衝撃を受けた証拠です。FERROに変形や傷がないかも確認します。
エイトノットは自分で結び直していいですか?
はい、長さ調整のために設計しています。結び直す時は末端を10cm以上残し、結び目をしっかり締めてください。カラビナ側のトリプルバレルノットは触らないでください。
ラチェットのどこに通せばいいですか?
必ず軸のボルトに通してください。ハンドル部分に掛けている人をよく見かけますが、ハンドルには強度がなく、破断の衝撃で曲がって外れます。バックアップの意味がなくなるので、いちばん強い軸のボルトに通してください。
パラコードや細いロープではだめですか?
だめです。公開実験でパラコードは即破断し、ダイニーマ芯の細いコードは結び目で強度が約6割落ちて芯が抜けます。ISAは9mm未満のロープを使わないよう明記しています。
寿命はどのくらいですか?
衝撃を受けなければ数年使えますが、外皮の毛羽立ち・変色・芯の硬さの変化があれば交換してください。紫外線と砂で劣化するので、使わない時は日陰で保管します。