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🆕 AMBASSADORS|岡澤恋

【解説】世界基準のハイラインフリースタイル・ウェビング構成を完全解説

空中で激しいトリックを決める「ハイラインフリースタイル」。その足元を支えるシステムは、驚くほど緻密で合理的です。世界標準のセットアップを解剖します。

ハイラインフリースタイル ウェビングセット

こんにちは、Slackline Researchの大杉です。

今、世界で最も盛り上がりを見せているスラックラインのジャンル、それが「ハイラインフリースタイル」です。

はるか高い場所に設置されたラインの上で、バウンスや回転技を行う映像を見たことはありますか?
「あんな細い紐の上でなぜ跳べるの?」「足元のラインはどうなっているの?」

実は、フリースタイルのラインはただ一本のテープを張っているわけではありません。パフォーマンスと安全を両立させるために、非常に計算されたシステムが組まれています。

今回は、その「ウェビングシステム(ラインの構成)」に焦点を当て、その仕組みを紐解いていきます。

ウェビング構成の正体:3つの要素と2つの道具

フリースタイル用のシステムは、以下の「3つの要素」「2つの道具」で成り立っています。
これらがパズルのように組み合わさることで、あの激しいトリックが可能になるのです。

【フリースタイル・システムの内訳】

  • 要素1:モジュラートリックゾーン(中央の演技エリア)
  • 要素2:メインウェビング(左右に伸びる伸縮ライン)
  • 要素3:バックアップライン(軽量・高強度の命綱)
  • 道具A:ソフトシャックル(各要素をつなぐ接続具)
  • 道具B:ファイバーテープ(メインとバックアップの固定)

1. メインウェビング(乗り心地のエンジン)

フリースタイルに最適なメインウェビングには、以下の3つの条件が求められます。

  1. 伸縮性が高いこと:バウンスのパワーを生み出すために必須。
  2. 重さが軽いこと:ライン自体の重さがトリックの妨げにならないように。
  3. 幅が細いこと:空気抵抗を減らし、風の影響を受けにくくする。

世界大会などで使われる「プロの選択」をスペックと共に見てみましょう。

Pink Tube Webbing

Pink Tube(高伸縮)

幅:25.5mm / 重量:54g/m

ISAワールドチャンピオンシップなどでも使用される世界基準のウェビング。信頼性とコントロール性のバランスが絶妙な「THE スタンダード」です。

LSD Tube Webbing

LSD Tube(高伸縮)

幅:25.5mm / 重量:54g/m

Pink Tubeの兄弟モデル(色違い)。スペックはPink Tubeと同じです。世界的に実績のあるリボン形状で、好みのカラーで選ぶことができます。

X-Wing Webbing

X-Wing(超高伸縮・極細)

幅:19mm / 重量:49g/m

特筆すべきは「幅19mm」という圧倒的な細さ。空気抵抗が極限まで少なく、回転技などの「抜け」が抜群に良くなります。

2. バックアップライン(軽さが正義)

バックアップ(命綱)は、ただ安全を守るだけではありません。実は「乗りやすさ」を決定づける重要なパーツです。

もしバックアップが重いと、ライン全体の動きが鈍くなり、スイングのリズムが狂ってしまいます。そのため、「可能な限り軽く、細いもの」を選ぶのが鉄則です。

Axiom Webbing

Axiom(アクシオム)

幅:20mm / 重量:33g/m

HMPE(超高分子量ポリエチレン)素材を使用し、驚異的な軽さと強度を両立。フリースタイルにおいて「軽さは性能」です。

3. トリックゾーン(演技エリア)

「フリースタイルはトリックゾーンの中で行う」。これが基本ルールです。

トリックゾーンは、落下時の摩擦熱からラインを守る「盾」であり、プレイヤーが技を繰り出す「ステージ」でもあります。

Modular Trick Zone

Modular Trick Zone(モジュラートリックゾーン)

現在は完全に独立したモジュラータイプが主流。グリップ力が高く、消耗したら交換もしやすい設計になっています。

4. 接続(ソフトシャックル)

Segment Connection Kit

モジュラートリックゾーンと左右のウェビングを接続するために使うのが「ソフトシャックル」です。

金属のリンク(マイロン等)を使うと、その重さでラインが揺れた時に「ガクン」という衝撃が生まれ、リズムが狂います。

ダイニーマロープを直接編み込む方法もありますが、メンテナンスや洗濯、パーツ交換のしやすさを考えると、軽量なソフトシャックルでの接続がベストです。

5. 固定(ファイバーテープ)

Fiber Reinforce Tape

メインとバックアップは、風による共振を防ぐためにテープで固定します。

ポイントは「不等間隔」で留めること。等間隔だと風で共振しやすくなるため、あえてランダムな間隔でテーピングします。

ビニールテープはすぐに切れてしまい、高所での貼り直し作業が発生するためおすすめしません。繊維入りの丈夫なファイバーテープを使うのが、ハイライナーの常識です。

知識から「体験」へ

いかがでしたか?
一見シンプルに見えるハイラインですが、そのシステムは機能美の塊です。この仕組みを知るだけでも、ハイラインを見る目が少し変わるのではないでしょうか。

そして、「自分もいつかあの場所に立ちたい」「フリースタイルを極めたい」と思った方へ。道筋は用意されています。

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大杉徹プロフィール

大杉 徹(Slackline Research)

日本人初のスラックライン・ワールドカップチャンピオン。ハイラインフリースタイルの普及と、安全で高性能なギアの開発・提案を行っています。

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