プリミティブ セットとハングオーバーセットはどれくらいののテンションがかけられるのか?
テンションメーター(張力計)を使用して、実験してみました!
それぞれ、いくつかのバリエーションで計測してみました。
実際にどれくらいのテンションがかけられるか見ていきましょう。
スラックライン設置条件
設置はすべて、手が届く高さ190cmでおこないました。
距離は約50mのロングラインを設置します。
設置に使用した2つのテクニック
テンションをかけるのに最も重要なポイントがあります。
それは、「強く引っ張る」です。笑
「当たり前じゃん!」
と思われるかもしれませんが、意外とできてない人が多いです。
いくら倍力システムを強くしても、元の力が小さいと高いテンションはかけられません。
掛け算なので。
実は、ウェビングをただ引っ張るだけでは中々、自分の力を伝えきる事ができません。
そこで、2つのテクニックを使用して実験を行いました。
樹木にあしをかける事で、全身を使い強く引く引っ張ることができます。
また、テクニック1と組み合わせると、超強力ですよ。
あ、あとメインラインに対してまっすぐ引っ張ってあげないと力が上手く伝わりません。
それでは以下、計測結果をご覧ください。
スラックラインのテンション計測結果
ハンドテンション = 0.75kN
ハンドテンション + バニーイヤー = 1.09kN
ハンドテンション + ツリーキック = 1.19kN
ハンドテンション + バニーイヤー + ツリーキック = 1.55kN
シンプルなプリミティブ5:1。
5倍の力で引っ張れます。
正確には摩擦抵抗があるので5倍ではありません。
本気で引っ張って上記のような感じ。
さすがにこの条件では50mのロングは設置できません。
40mくらいだったら設置できるかも?
ハンドテンション = 2.28kN
ハンドテンション + バニーイヤー = 2.74kN
ハンドテンション + ツリーキック = no test
ハンドテンション + バニーイヤー + ツリーキック = no test
5倍×3倍の15倍力です。プリミティブ セットの真骨頂。
バニーイヤーノットを使うと超強力。
一番手前のカラビナを1つハングオーバーに変更した場合
Primitive 15:1(カラビナ3つ+ハングオーバー1つ)
ハンドテンション = 2.88kN
ハンドテンション + バニーイヤー = 4.00kN
ハンドテンション + ツリーキック = no test
ハンドテンション + バニーイヤー + ツリーキック = no test
+1.26kNは驚きました。
4kNはすごい。
プリミティブのシステム的にはこれ以上のテンションはおすすめしません。
これ以上テンションがかけたい人はハングオーバーセットがおすすめ。
以下ハングオーバーセットでの実験です。
ハンドテンション = 1.12kN
ハンドテンション + バニーイヤー = no test
ハンドテンション + ツリーキック = no test
ハンドテンション + バニーイヤー + ツリーキック = no test
ハングオーバー3:1で1.12kN。
プリミティブ5:1の0.75kNを軽く超えてきます。
これは摩擦の関係でハングオーバーはベアリングが内蔵されている為、システム的に効率が良いのです。
ハンドテンション = 4.01kN
ハンドテンション + バニーイヤー = 4.94kN
ハンドテンション + ツリーキック = no test
ハンドテンション + バニーイヤー + ツリーキック = no test
ハングオーバーセット9:1です。
バニーイヤーで、4.94kN!
50mではテンションが高すぎなくらいです。
もっと長いロングでも設置可能ですね。
仲間と一緒に引っ張る事で、更に簡単にテンションをかける事ができます。
ハンドテンション = 2.55kN
ハンドテンション + バニーイヤー = 4.01kN
ハンドテンション + ツリーキック = no test
ハンドテンション + バニーイヤー + ツリーキック = no test
コンプレックスシステム5:1です。
マニアックな組みかたで、見た事ない人も多いと思います。
赤いラインはバランスコミュニティのアジャスタブルアンカースリングです。
赤いラインは元々スリングの用途なのですが、スリングとしてはツリースリングが圧倒的にパフォーマンスが良く、使い道に困っていました。
しかし良さげな方法を思いついたのでご紹介。
この方法はハングオーバー2つで5:1を簡単に作成できます。
結果はバニーイヤーで4kNまでかけれました。
プリミティブ 15:1と同等の結果。
特にハイラインの設置時にも良いかも。
以上実験でした。
他にも様々な組み合わせや方法が存在します。
シチュエーションなどによっても最適な方法は変化します。
今回は基礎的な設置をご紹介いたしました。
スラックラインリサーチでは設置講習もおこなっています。
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
大杉徹(おおすぎとおる)